スペイン

 

おっちゃん

バルセロナからマドリッド 夜行列車 一睡もせず 宿 朝着く
寝かしてくれ

ドンドンドン 「な~に」
「昼メシ」 また寝る
ドンドンドン 「な~に」
「晩メシ」

食堂 数人の若い男ゴロゴロ みんな洗濯したり やたら馴染んでる
どうやら独身寮を兼ねているらしい

人が良く 夜 ニコニコしながら 「グッドモーニング」
ルール聞きながらチェスやると 勝っちゃうんだよね

ワインある おっちゃん 「これちょうだい」
「お前 今日はここ迄な」 ボトルの半分に爪で印つける

ある晩 フラメンコ行くからメシ要らない

サングリア飲み過ぎて 失礼にも一番前の席で寝ちゃったんだよね

夜中一時過ぎ 誰も居ない店 一人起こされる
真っ暗な街 とぼとぼ歩く 30分位

おそるおそる ドン   ドン

ギィ おっちゃん

待っててくれた。

 

スペインの夫婦

南へ トレド アルハンブラ マラガ
そして おっちゃんちに戻る
ドンドン 居ねーのかな
しばらく叩く

そーだ 電話番号知ってたな
でも 小銭が無い
道行く人に両替頼む
スペイン語解んないから 耳の横で人指し指くるくる回して 手の平にペセタ札置く
何人も何人も

みんな逃げる
あっ このポーズもしかして 俺はキチガイだからお金恵んでって見えるんだ

また叩く ドンドンドンドン
そこへ 初老の夫婦

「どうした」
「ここに泊まりたい」
一緒にドンドン叩いてくれる
電話番号あるんだ 三人でコーヒースタンド
でも出ない
また一緒にドンドン

奥さん 「こんなバカほっといて帰りましょう」
「うるさいお前は黙ってろ」 旦那さん
また 二人でドンドンしばらく

「何もしてやれなかったなあ まあ頑張れや」
「いえいえ グラシアス」

街をぐるっと回って また叩く

ギィ おっちゃん 「何で電話しねえんだ」

しかめっ面して
おこられた

また いつもの様に
ワイン半分ね

おっちゃん。