着替え

 

 を持たない
 私の正しい風呂の入り方
 ロンドンにて

 ヨーロッパを五ヶ月旅行してロンドンに戻る
 二回目の国は自分の家に帰って来た気持ちだ
 その角を曲がればタバコ屋さん
 真っ直ぐ行けば お気に入りのパブ

 ジーンズ一本 皮ジャン一丁
 パンツと靴下は現地調達

 ここいらで洗濯でもするか
 と コインランドリーの近くのB&B(Bed&Breakfast)を探す
 狙う時間は皆が出払った 午後2時
 まずシャワーを浴び バスタオルを腰に巻き
 上は皮ジャンのみ ズックを素足で
 洗い物を袋に詰め 後は運を天に任す

 人通り少ない 閑静な住宅街
 8m幅の道の向こうが目的地
 左右を見渡し 斜めに進む

 中には10台位のドラム式
 それと オバアサン二人
 平然と洗剤を買い 洗濯機を回し
 そこいらの雑誌に目をやる

 オバアサン達 出て行く
 その5分後 長身のオジイサンと共に戻って来る
 どうやら此処のオーナーらしい

 なにやら三人でヒソヒソ ボソボソ
 こいつに何を文句言っても解らんだろう という顔してる
 私 何食わぬ顔で 目を合わす
 内心は ポリ公呼んだら困るな と思いつつ
 でもまあ フルチンじゃないから大丈夫だろう

 少しして 三人は出て行った
 乾燥終わり 温かいパンツを履き
 Tシャツを着 色の変わったGパンにベルトを通す

 そこから出たロンドンは別世界だった
 もう何も 恐れる事は無い

 パスポートを首から下げている訳ではない
 相手からは ただの人間
 そんな 一人旅をするには

 敵対心の無い
 公平な目でいること

 必ず誰かの お世話になる。