床屋さん 

 

 一年間の旅行で三回お世話になりました

一回目

 ロンドンからパキスタンに発つ前日
 現地の気温を考えバッサリ
 でも 一応拘りがあるので雑誌の写真を切り抜き
 理容師さんに見せる
 彼 にやり と笑う  次の日 空港迄見送りに来てくれた五、六人
 その中 フランスからの留学生の女の子 エディ
 「今日は綺麗ね」
 私「いつもだよ」。

二回目

 暑いインドにて
 場所は忘れたが 道端
 壁に掛けられた小さな鏡 水を汲んだ桶
 「カットお願いします」
 彼 首を斜めに傾ける
 インドでは これがイエスなのだ
 道路脇の下水道を見ながらシャンプー
 さっぱりした でも暑い。

三回目

 ミャンマーはヤンゴンにて
 十五、六才の子供に 床屋さんは何処ですか と訊く
 彼「付いて来い」
 昔懐かしい床屋さん
 鏡越しに見てると彼 後ろの椅子に座り動かない
 「俺がお客さん連れて来たんだから 少しお金よこせ」
 と 言っている様子
 終わってから マッサージ
 インドと違い ここでは私の方が首を曲げられ
 ポキポキいう

 

 今でも 床屋さんは 年三回

 何も 変わり無い。