ラジュー 

 

 が 開店を一週間後に控えた
 彼の友達のパイ屋さんに連れて行ってくれた

 裏通りの家の土間を改造した店は
 レンガ造りの窯
 山積みされた
 小麦粉とりんご

 そして アセチレンガスの灯りの下
 黙々と仕込みをする 優しげな彼が居た

 ラジューは心配そうに見ていた

 「どう思う」 と 俺に聞く
 「分からん」

 分からんのは 何故 喰えないネパールでパイ屋かだ

 そういえば マリファナを吸ってガムを貰った時
 軽くストーンしている頭が ガム味になった

 アメリカ人の最も好きな食べ物 アップルパイ

 矛盾は 常に 己の内側にある。